お笑い芸人の千原ジュニアさんを長年悩ませた股関節の痛みは、単なる筋肉痛や疲労ではありませんでした。この痛みは、彼が患った指定難病、特発性大腿骨頭壊死症という病気が原因でした。
この病気は、太ももの付け根にある大腿骨頭が、血流の低下によって壊死してしまうものです。なぜこのようなことが起きるのか、その理由と具体的な症状について、この記事では詳しく解説します。
千原ジュニアさんのケースをたどりながら、この病気で起こる具体的な症状や、痛みの原因と症状をチェックする方法、そして現代医学が説明する病気の原因についても見ていきます。また、厚生労働省が示す特発性大腿骨頭壊死症をおこす薬や、薬が引き起こす医原病という考え方にも触れていきます。
千原ジュニアさんを悩ませた治療法や、彼と同じ病気を患った坂口憲二さんなどの芸能人の例も紹介し、痛みを感じたら病院へ行くべきか、また自分でできる対策は何かについても解説します。
安易な薬の使用を控えることの重要性を踏まえ、この病気への理解を深めていきましょう。原因不明とされがちなこの病気の真実に迫る、YouTubeシンゾウチャンネルが究明する病気の原因についても触れています。
この記事のポイント
- 千原ジュニアさんの股関節の痛みの原因が、指定難病である「特発性大腿骨頭壊死症」であることを理解できる
- この病気が、一部の医療関係者から「医原病」、つまり医療行為が原因で引き起こされる病気だと考えられていることを理解できる
- ステロイドや睡眠導入剤など、病気の原因となりうる特定の医薬品があることを理解できる
- 千原ジュニアさんが、薬物療法で痛みをコントロールしようとしたが改善せず、最終的に人工関節の手術に至った経緯を理解できる
千原ジュニアさんの股関節の痛みはなぜ?
特発性大腿骨頭壊死症とはどんな病気?

特発性大腿骨頭壊死症は、太ももの付け根にある大腿骨頭という部位の骨組織が、血流が低下することによって死んでしまう病気です。
この病気の厄介な点は、骨が壊死した時点では痛みなどの自覚症状がほとんどないことです。つまり、骨壊死が発生してから、実際に症状が出るまでには数か月から数年という時間差が生じます。そして、壊死した骨が体重を支えきれなくなり、潰れることによって痛みが現れるのです。
なぜなら、血流が途絶えた骨は、新鮮な栄養や酸素が供給されず、やがて組織として機能しなくなってしまいます。
一方、壊死の範囲が小さい場合は、生涯にわたって痛みをきたさないケースもあります。
ちなみに、この病気は厚生労働省によって指定難病71と定められており、医療費の補助対象となっています。そのため、もしこの病気と診断された場合は、主治医に相談して難病指定の申請を検討するべきでしょう。
この病気で起こる具体的な症状は
この病気の主な症状は、骨頭が潰れたときに生じる股関節の痛みです。多くの場合、比較的急に痛みが生じるのが特徴です。
たとえば、歩いているときや階段を上り下りするときに、股関節に強い痛みを感じます。また、症状が進行すると、安静にしているときでも持続的な痛みを感じることがあります。
このような強い痛みが続くと、睡眠を妨げられることもあるため、日常生活に大きな支障をきたす可能性もあるのです。
そのほか、腰や膝、お尻の痛みを訴える方もいます。さらに、骨の変形が進むと、関節の動く範囲が狭くなり、足を引きずって歩く跛行という状態になる場合もあります。
したがって、少しでも股関節に違和感がある場合は、早めに専門医に診てもらうことが大切です。
痛みの原因と症状をチェック
特発性大腿骨頭壊死症による痛みの原因は、前述の通り、血流が途絶えて壊死した大腿骨頭が、体重の負荷に耐えきれずに潰れてしまうことにあります。
骨が死んだだけでは痛みは生じませんが、その後の骨頭圧潰によって、急激な痛みが現れるのです。
たとえば、スポーツ選手が行きつけのマッサージや鍼治療を受けても改善しなかったり、強い鎮痛剤を使わないと痛みが治まらなかったりすることがあります。
また、痛みのために自力で脚を上げることが困難になり、車の乗り降りにも介助が必要になるケースも報告されています。
このような症状は、痛みの根本的な原因が骨の壊死と崩壊にあるため、単なる筋肉痛や関節の炎症とは異なることを示唆しています。
したがって、ただの筋肉痛だと思って放置せず、長引く股関節の痛みは専門医に相談してMRI検査などを受けることが重要です。
現代医学が説明する病気の原因
現代医学では、特発性大腿骨頭壊死症の明確な原因はまだ十分に解明されていません。そのため、病名に「特発性」という言葉がついています。
しかし、病気と関連する特定の因子は、長年の研究によって徐々に明らかになってきています。具体的には、膠原病などの免疫異常を伴う疾患や、臓器移植などでステロイドを大量に投与された経験がある方、そしてアルコールの過剰摂取や喫煙が習慣的な方に比較的多く発生することがわかっているのです。
これらはあくまで危険因子であり、必ずしもこれらの因子があれば発症するわけではありません。
一方で、特に誘因がないにもかかわらず病気になるケースも多くあります。これには、遺伝的な要素や、まだ知られていない他の要因が関わっている可能性も考えられるでしょう。
いずれにしても、これらの危険因子に心当たりがある方は、特に注意して体の変化に気を配る必要があります。
厚生労働省が示す特発性大腿骨頭壊死症をおこす薬
厚生労働省は、特発性大腿骨頭壊死症の原因となりうる薬物について、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」として情報をまとめています。このマニュアルによると、病気を引き起こす可能性がある薬は、主に以下の3つのグループに分類されています。
一つは、合成副腎皮質ホルモン製剤、つまりステロイドです。アレルギーや自己免疫疾患の治療に広く使われますが、長期間、大量に投与するとこの病気のリスクが高まります。
もう一つは、免疫抑制剤です。臓器移植後の拒絶反応を抑えるために使用されることが多く、これも発症リスクを高める可能性があります。
そして、ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤や精神系の薬も挙げられています。
多くの人が使用するこれらの薬も、この病気との関連が示唆されているのです。これらの薬は、体のさまざまな機能に作用することで血流障害を引き起こし、最終的に骨の壊死につながると考えられています。
そのため、これらの薬を服用している方は、定期的な健康チェックを怠らないことが重要です。
特発性大腿骨頭壊死症を引き起こす可能性のある薬の製品名
厚生労働省の資料では、この病気を引き起こす可能性のある薬として、以下の製品名が挙げられています。
- プレドニゾロン
- ベタメタゾン
- コハク酸メチルプレドニゾロン
- プロピオン酸ベクロメタゾン
- 酢酸ベタメタゾン
- リン酸ベタメタゾンナトリウム
- デキサメサゾン
- プロピオン酸フルチカゾン
- シクロスポリン
- 酒石酸ゾルピデム
- リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム
- トリアムシノロンアセトニド
- ソマトロピン
- タクロリムス水和物
これらの薬剤はすべて、医師の処方によって使用されるものです。処方された薬を自己判断で中断したり、量を減らしたりすると、元の病気が悪化する危険性があるため、必ず医師の指示に従ってください。
医原病、その対策は薬を安易に使わないこと
特発性大腿骨頭壊死症は、一部の研究者から「医原病」、つまり医療行為によって引き起こされる病気だと指摘されています。
その理由は、前述の通り、ステロイドなどの特定の薬剤との関連性が高いと考えられているからです。これらの薬は多くの病気の治療に不可欠であり、非常に効果が高い一方で、血流障害を引き起こすという副作用を持っています。
薬の投与後、数か月や数年という時間差で症状が現れることもあるため、本人が薬との因果関係に気づかないケースも少なくありません。
その結果、「原因不明」として片づけられてしまうことがあるのです。このような事態を防ぐための最も効果的な対策は、安易に薬に頼らないことです。もちろん、必要な治療のための薬は服用すべきです。
しかし、少しの体調不良や不眠に対して、安易に薬を求めるのは避けるべきでしょう。日頃から健康的な生活習慣を心がけ、薬に頼らない体作りをすることが、この病気に対する最良の予防策と言えるのです。
千原ジュニアの股関節の痛み、なぜ起きたのか
千原ジュニアさんを悩ませた治療法は
千原ジュニアさんが診断された特発性大腿骨頭壊死症は、痛みが非常に強く、日常生活に大きな支障をきたす病気です。
当初、医師から提案された治療法は、手術ではなく薬による痛みのコントロールでした。これは、ごくまれに症状が自然に治まる人がいるため、また千原ジュニアさんのようにまだ若い患者の場合、人工関節には耐用年数があるため、できるだけ手術を避けるという方針に基づいています。
しかし、通常の痛み止めでは効果がなく、さらに強い薬を服用する必要がありました。この強い薬の副作用として、番組収録中にひどい眠気に襲われるなど、別の苦悩も生じたのです。そのうえ、薬で痛みが減った時期もありましたが、すぐにぶり返してしまいました。
痛みが最もひどい時期には、布団が重く感じられ、寝返りを打つのも困難なほどでした。そして、一晩に4、5回も目が覚めるような状態が1年ほど続いたと言います。このように薬物療法では根本的な解決には至らず、最終的には医師も方針を変更し、2022年3月15日に人工股関節を入れる手術を受けることになりました。
この手術日は、自身のYouTubeチャンネルで難病「特発性大腿骨頭壊死症」の手術を受けることを公表した際にも明かされています。
YouTubeシンゾウチャンネルが究明する病気の原因
YouTubeチャンネル「シンゾウチャンネル」は、医薬品の副作用によって引き起こされる「医原病」について、その原因を深く掘り下げて探求しています。このチャンネルの主張は、単なるデマや個人的な思い込みではなく、医薬品の添付文書に記載されている公式な情報を基にしている点が特徴です。
たとえば、「特発性大腿骨頭壊死症」という病気。一般的には「原因不明」とされていますが、ヨコタシンゾウ氏はこれを明確に医原病だと断言しています。
原因不明ではない?医薬品が引き起こす「特発性大腿骨頭壊死症」
厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」にも記載されている通り、この病気は特定の医薬品が原因で発症することがあります。
具体的には、ステロイドや免疫抑制剤、そしてベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤などが、原因薬物として挙げられています。これらの薬は多くの病気で使われているため、本来なら年間2,000〜3,000人どころか、もっと多くの患者が発症してもおかしくないとヨコタ氏は主張しています。
これらの薬物が大腿骨頭への血流を妨げ、骨の壊死を引き起こすメカニズムが指摘されています。
特発性、つまり「原因不明」という言葉に疑問を投げかけ、「原因は分かっている」と力強く訴えるヨコタ氏。さらに、薬の投与から発症までに数カ月から1年ほどのタイムラグがあるため、患者自身が薬との因果関係に気づきにくいという現状も指摘しています。これが、多くのケースで原因が特定されず「原因不明」とされてしまう大きな理由だと述べています。
もし、今何か病気に悩まれているのであれば、一度シンゾウチャンネルでご自身の病名を検索してみてはいかがでしょうか。
特発性大腿骨頭壊死症にかかった芸能人
特発性大腿骨頭壊死症は、一般的にあまり知られていない病気かもしれませんが、実は多くの芸能人がこの病気にかかっていることが公表されています。
中でも、この病気を広く知らしめるきっかけとなったのは、俳優の坂口憲二さんです。2018年に無期限の活動休止を発表した際、この病気の治療に専念するためであることが明らかにされました。
また、世界的にも有名なアーティストのマイケル・ジャクソンさんも、この病気に罹患していたと報じられています。彼のケースは、美容整形手術や皮膚疾患の治療でステロイドを常用していたことが原因だと推測されています。
そして、今回取り上げたお笑い芸人の千原ジュニアさんも、この病気との闘病を公表しました。
彼らのように、多忙なスケジュールの中で急な体の異変を感じ、それが難病と診断された事例は、多くの人にとって他人事ではないことを示唆しています。
彼らが経験した症状や治療法、そして病気との向き合い方は、同じ病気に苦しむ人々にとって大きな希望や情報源となっているのです。
痛みを感じたら病院へ行くべき?
特発性大腿骨頭壊死症による痛みは、最初は筋肉痛や疲労と勘違いされやすいものです。
しかし、その痛みが2週間以上たっても改善しない場合は、ただの筋肉痛ではない可能性が高いと言えます。
この病気は放置すると、骨の壊死部分がさらに潰れて変形が進んでしまい、やがて人工関節の手術が必要となる可能性が高まります。
早期に発見できれば、手術をせずに済むケースもあるため、痛みを我慢せずに早めに医療機関を受診することが非常に重要です。
特に、歩行時に股関節やお尻、腰に痛みを感じたり、足を引きずるようになったりした場合は、整形外科の専門医に診てもらうべきでしょう。
専門医は、MRIなどの画像検査で骨の状態を詳細に確認できます。この検査によって、早期の骨壊死を発見できる可能性が高いのです。
たとえ初期の壊死であっても、適切な生活指導や治療を受けることで、病気の進行を遅らせることができます。
自分でできる対策は?
この病気の根本的な原因は血流障害にあるため、まず第一に、股関節に過度な負担をかけないことが大切です。
特に、体重が重いと股関節への負荷も大きくなるため、適正体重を維持する努力が必要です。
また、激しい運動や長距離の歩行、階段の昇り降り、重い荷物を運ぶような動作はできるだけ避けるべきでしょう。
痛みが強い時期には、杖を使うなどして股関節への体重負荷を減らす免荷も効果的です。
一方で、適度な運動は血流を促進し、筋肉を維持するうえで重要です。ただし、自己判断で行うのではなく、必ず医師や理学療法士の指導のもとで無理のない範囲で行うことが重要です。
喫煙や過剰な飲酒も血流を悪化させる危険因子となるため、できる限り控えるべきです。これらの生活習慣の改善は、病気の進行を抑えるだけでなく、全身の健康維持にもつながります。
最後に:安易な薬の使用は控えましょう
この病気の原因は「特発性」とされていますが、一部の研究者からは特定の薬が原因となる医原病であるという指摘がされています。
特にステロイドや免疫抑制剤、睡眠導入剤といった薬は、この病気の発症と関連が深いと考えられています。
もちろん、これらの薬は多くの病気の治療に不可欠であり、医師の指示のもとで適切に使用すべきです。
しかし、少しの不調に対して安易に市販薬や処方薬に頼ることは避けるべきです。
例えば、単なる不眠や軽い腰痛、風邪の初期症状などに対して、安易に薬を服用する習慣がある方は、薬に頼らない生活習慣を心がけることから始めてみましょう。
十分な睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動といった基本的な健康管理を徹底することが、結果的に不必要な薬の服用を減らし、病気のリスクを遠ざけることにつながります。
ご自身の体を守るためにも、薬は本当に必要なときにだけ使うという意識を持つことが重要です。
千原ジュニアを悩ませた股関節の痛み、なぜ起きたのか?
- 千原ジュニアが診断された病名は特発性大腿骨頭壊死症である
- 特発性大腿骨頭壊死症は、太ももの付け根にある大腿骨頭が血流低下により死んでしまう病気である
- 骨が壊死した段階では自覚症状がほとんどなく、数カ月から数年後に症状が出る
- 壊死した骨が体重を支えきれなくなり潰れることで痛みが現れる
- 主な症状は、骨頭が潰れたときに生じる股関節の痛みで、比較的急に痛みが生じるのが特徴である
- 歩行時や階段の昇り降り、安静時にも持続的な痛みを感じることがある
- 腰や膝、お尻に痛みが現れることもある
- 骨の変形が進むと、関節の動く範囲が狭くなり、足を引きずるようになる
- 現代医学では明確な原因は解明されておらず、病名に「特発性」とついている
- ステロイドの大量投与、アルコールの過剰摂取、喫煙が関連因子として挙げられている
- 厚生労働省は、ステロイドや免疫抑制剤、ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤などが原因となりうる薬物だと情報をまとめている
- 一部の研究者からは、この病気は医療行為によって引き起こされる「医原病」だと指摘されている
- 千原ジュニアは当初、手術ではなく薬による痛みのコントロールを試みた
- しかし、強い鎮痛剤でも効果がなく、副作用で眠気に襲われるなど苦悩があった
- 最終的に千原ジュニアは人工股関節を入れる手術を受けた
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